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経済安保法で定められた特定重要技術の研究開発の公募が12月から始まります。10月31日に、経済安全保障重要技術育成プログラム『K Program』のWebサイトがプレ公開されました。
https://www.jst.go.jp/k-program/
そこに6つのプログラムが提示されています。それぞれ10ページ以上の説明がついて
いますが、簡単に狙いを紹介します。

①「災害・緊急時等に活用可能な小型無人機を含めた運航安全管理技術」(プロジェクト型)(内閣府・文科省)
 災害・緊急時等に有人機と無人機が救助活動等を同時に行うことができるよう自律的な衝突回避等をシステム化した運航安全管理技術及び無人機との通信が途絶しないセキュアな情報通信技術の開発を行うとともに、長距離・長時間飛行が可能な航続性能と高機動性を有する垂直離着陸性能を両立する無人機の性能向上に係る技術の開発
を行う  最大60億円

②「無人機技術を用いた効率的かつ機動的な自律型無人探査機(AUV) による海洋観測・調査システムの構築」(プロ型)(内閣府・文科省)
 総合的な海洋の安全保障に資する支援対象とする技術として「自律型無人探査機(AUV)の無人・省人による運搬・入・回収技術」及び「自律型無人探査機(AUV)機体性能向上技術(小型化・軽量化)」において、我が国技術の優位性の獲得を目指す  最大 80 億円

③「人工知能(AI)が浸透するデータ駆動型の経済社会に必要な AI セキュリティ技術の確立」(個別研究型)(内閣府・文科省)
 AI そのものを守るセキュリティに関する脆弱性がどのようなものなのか、国際的にもまだ十分に理解されていない中で、「AI セキュリティに係る知識・技術体系」の整理・獲得を目指す。最大25億円

④「船舶向け通信衛星コンステレーションによる海洋状況把握技術の開発・実証」(内閣府・経済産業省)
 「自由で開かれたインド太平洋構想」を実現するため、宇宙を活用した我が国周辺海域、及びシーレーン周辺海域の海洋状況把握(MDA、Maritime Domain Awareness)を行う能力を強化し、船舶の動静情報を網羅的に収集し、海洋状況を効果的に把握す
ることを目的とする。最大147 億円

⑤「光通信等の衛星コンステレーション基盤技術の開発・実証」(内閣府・経済産業省)通信・観測・測位を担う衛星コンステレーションは、防衛、海洋、防災、環境など様々な分野での利用が拡大し、我が国の安全保障や経済社会にとって不可欠なインフラであり、地球周回衛星群(通信衛星、観測衛星等)と地上局群が構成する各ノード間に 光通信及び高速 RF 通信でデータリンクを張り、当該データリンク群からなる光通信ネットワークの制御等を適切に行うことで、観測衛星から観測データを使うエンドユーザまで大容量・低遅延でのデータ通信・データ処理のサービスを提供する技
術を開発する。最大600 億円

⑥「高感度小型多波長赤外線センサ技術の開発」(内閣府・経済産業省)高感度の小型多波長赤外線センサがあれば、小型衛星、ドローン、HAPS(高高度を飛び続ける無人航空機)、ハンディカメラ等にこれを搭載し、高頻度・高精度でのスペクトルデータを得られる。これにより、海洋状況把握、自然災害のリスク・被害状況の把握、重要鉱物資源の探査等、安全保障や危機管理上、重要な情報が得られる。日本の衛星HISUI は地球全球のデータるのに約 3 年間が必要で、高頻度でのデータ取得が必要な安全保障分野等では、小型衛星やドローン等に搭載可能な高感度の小
型多波長赤外線センサが必要である。最大50億円

この①~③については公募については情報はない。例えば②については「研究代表機関、関係府省等による意見交換を経て、試作システム に必要な技術について新たな研究機関による研究開発が適切とプログラム・ディレクター(PD)が判断した場合には、その研究開発について公募を行う」とされている。
一方④~⑥は新エネルギー・産業技術総合開発機構NEDOのHPに、NEDOが研究代表機関となり12月から公募を始めると記されている。例えば⑥は事業期間2022年度~2027年度、公募期間2022年12月上旬から1カ月程度 とされている。そして経済安保法に基づく指定基金協議会を設置した上で推進することや、参加者間で機微な情報も含む有用な情報の交換や協議を安心かつ円滑に行うことのできるパートナーシップの確立などが書かれている。機微な情報を含む以上、研究者には罰則付きの守秘義務が課せられ、また研究成果をもとにした特許公開も禁じられる可能性が出てくる。
上記6つは皆、軍事利用にも関わるが、とりわけ④~⑥は敵の艦船や移動式ミサイル発射台などの動きをとらえるためにも欠かせないものであり、敵基地(艦船)攻撃能力に直結する。

11月6日の連絡会シンポジウムで井原氏は、7月25日に内閣官房が出した文書に「軍事技術開発への研究者の動員」と書かれていることを暴露されたが、いよいよそれが本格的に始まろうとしている。このような公募に応募してはならない、という声をあげていかねばならない。

なお8月8日に第2回経済安全保障重要技術育成プログラムに係るプログラム会議が開催されている。
https://www8.cao.go.jp/cstp/anzen_anshin/program/2kai/2kai.html
そこで出された「経済安全保障重要技術育成プログラムに係る研究開発ビジョン検討ワーキンググループにおける検討結果」は、海洋、宇宙、航空、領域横断・サイバー空間、領域横断・バイオの5つについて、それぞれ研究課題をたくさん掲げているが、上記①~⑥は全てこの中に掲げられていることの具体化である。ぜひ下記を見てほしい。
https://www8.cao.go.jp/cstp/anzen_anshin/program/2kai/siryo1-1.pdf
今後もこのWGの提案にそって、さらに多くの特定重要技術の研究開発の公募がなされていくだろう。確かにそれらはデュアルユースであり、民生技術としても応用しうるものだが、守秘義務を課せられ研究成果の公表も制限される経済安保法に枠に入り込んでしまえば、軍事(安全保障)優先となり民生研究はかえって阻害される。そのことをしっかり押さえていきたいものです。

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